息子の病気で知ったこと。
命と心は同じ高さにあるということ。
命があっても 心が死んでいたら それは生きていることが苦痛なだけ。
生きるということは 命があるということは 心があるということ。
突然襲った息子の病気。病名を知ってはいたけど、私には無関係と思っていました。
苦しむ息子にかける言葉が見つからない。私は自由だし、好き勝手できるから。
『お母さん、なんで僕だけ病気になったの?』『なんで僕が病気になったの?』
そう尋ねる息子に『ごめんね、かわってあげられなくて、ごめんね』と答えるしかなくて。
私も聞きたい・・何故私の息子が病気になるのですか?どうしてこの子なんですか?
結局息子は11年という短い生涯を 発病したその年に終えました。
生きていれば今頃どんな青年になっていたかな・・昆虫博士になると言っていた夢を追いかけていたのかな・・
息子は わがままな母親にたくさんのプレゼントを残してくれていました。
『お母さん、僕が死んでも僕を忘れない?』『僕のこと産んでよかったって思ってる?』
『お母さんも大変だね、せっかく僕を産んだとにね』息子の声は今もハッキリ覚えています。
日に日に弱っていく息子を見ながら 私の心は強さと深さを知り そして愛おしいという感情はこんな気持ちだったのかと 私は 知りました。
『絶対にママを置いていかないでね』と とうとう口にしたことがありました。
『ママは本当にわがままだね。僕はいなくならんよ、自信がある』・・・そう言ってブイサインをした息子。
この言葉は いつも私を励ましてくれます。息子は今も生きています。
体はなくなりました。でも、彼は生きているのです。彼の心がここにあると感じるから。
たったひとつの命です 生きているということは 心があるということです。
体がなくなっても 心が その人の笑顔や声や 言葉が残っているならば 一緒に生きているんだなと そう 感じる時が与えられると 私は思うのです。
命がある時に抱きしめてあげましょう。たったひとつの 命だから
(第2巻掲載)