一般社団法人ワンライフプロジェクト

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清美ちゃん

7年前、幼なじみと再会しました。彼女とは、中学校卒業以来会っていなかったので、15年振りの再会でした。彼女は小学生の面影そのままの笑顔で、「久し振り。元気?」と私に笑いかけ、「うん。又ゆっくり会おうね。」と私は答えました。彼女の隣で、彼女のお父さんが嬉しそうにお酒を飲んでいました。お父さんは、「ふみちゃん、清美がな、たまにはこうして一緒にお酒を飲もうって言ってくれるんやで。」と細い目をますます細くして、本当に嬉しそうに笑っていました。一ヵ月後、母から私の勤めている会社に電話がありました。「昨夜、清美ちゃんが亡くなったから、今日お通夜に行って来なさい。」自殺でした。 彼女との2度目の再会は遺影の中でした。遺影の中の彼女も小学生の頃と同じ笑顔で笑っていました。彼女のお父さんは、「ありがとうな。来てくれてありがとうな。」と何度も何度も私に頭を下げました。お父さんの細い目には涙がいっぱいで、私は何も声をかけることができませんでした。お通夜から戻った私に、母は言いました。「どんなにつらいことがあってのか、それはわからないけど、自分の親より先に死ぬこと程親不孝なことはないのよ。」何度も頭を下げてくれたお父さんの姿を思い出して、私は涙が止まりませんでした。彼女のお父さんは、私の顔を見ると「嬉しいなぁ。清美に会えたみたいや。」と目を細めて笑います。そして最後に必ずこう言います。「元気でおってな。ずっと元気でおってよ。」お父さんは、私に彼女の影を重ねて、まるで彼女に話しかけているようです。
清美ちゃん、あなたの亡くした命はひとつだけど、重さはひとつ分じゃない。家族の思い、恋人の思い、友達の思い、たくさんの思いが詰まった大切な命。その重さがわかっていたら、自分でなくすことはなかったかもしれないね。 
たったひとつの命だから、なくしてはいけない大切な宝物。その宝物を自分以上に大切に思ってくれている人がいます。そして、その宝物があるだけで幸せになれる人がいることを忘れずに、私は生きたいと思います。

ふみえ (第3巻掲載)